悲しい。
だが、分かっていたのだ。

だからこそ、彼は、最後に姫君にあった時に、泣いたのだ。


「大変だァ!」

久光が寝ていると、邸の誰かが叫んだ。

「ん?」

久光は眠い目を擦って起き上がってきた。

「盗人だァ!!!」

(姫様!)

彼ははね起きた。

「行ってはいけません、これ、久光!」