「これ、久光。」

久光の母親は、久光を呼び止めた。

「何ですか。」

「まぁた、姫様と御一緒だったのでしょう、いけない、とあれ程言ったでしょう?」

「……………」

久光はしょぼん、と俯いて、何も話さない。

「もう、姫様の御前には参ってはなりません、分かった?」

「……………………はい。」

本来なら、久光は姫に近づいてはならない身分であったのだ。

(もう、お別れですな…………)