「皆、お堅いわねぇ、あんたも含めて。」

「僕もですか?」

「ふぁぁ、何か、眠くなってきたわ。やっぱり、夜に忍んでしか、会えないもんだから。」

姫は久光に寄りかかって、寝息をたてて眠ってしまった。

「もぅ、姫様。お部屋に戻ってからお眠りになって下さい……………」

久光は姫の頭を優しく撫でて、微笑む。

(例え貴女を好きになろうと、きっと、報われない。そうなんだぁ。嗚呼、我ながら哀れだこと。)

ポタリ、ポタリと彼の目から涙が零れ、姫の衵にしみをつくる。