今日は高校の入学式。
私、茅井 留愛(かやい るあ)は新しい制服に袖を通す。


偏差値はそこそこだけど制服が可愛いこの咲ヶ谷高校(さきがやこうこう)に第一志望で合格できた。



「留愛〜!そろそろ時間よー。」



1階からお母さんの声が聞こえた。



「はーい!今行くー!」



荷物を持って部屋を後にした。



「もう、時間ぎりぎりよ。お母さんは少し後から行くわね。」



「うん!じゃあまたあとでね!」



そう言って私は家を飛び出した。



高校までは歩いていける距離だ。



新しい道にワクワクする。



「留愛〜!!おはようーー!」


後ろから聞き慣れた声が聞こえた。



「あ、伊織!おはよう!!」



伊織というのは私の幼稚園からの幼馴染である佐々内 伊織(ささうち いおり)。



「高校まで留愛と一緒なのか〜。よろしくな。」



すごい嫌な言い方をしてくる伊織。




「何よ。なんか嫌そうに聞こえるんですけど〜。」



私が怒ったように言うと



「い、いや、そんなことないって〜。」



と伊織は焦ったように言った。



「あ。蘭とは違う学校で残念だね〜。可愛いから取られちゃうよ〜」