ガサガサ
「…そっ、な…すよ……めですねあ…き。」
(くそっ、ないっすよ。ここはだめですねあきに。)
私は物音で目が覚めた。
目を薄く開けるとくぅたんときぃくんが目の前にいた。
誰か知らない人の声が聞こえるけど寝起きであまり聞き取れなかった。
ガサガサ
「チッ、やっぱガキの部屋にはねえか。こずかいとかありそうなのにな。」
もう1人違う人がいるみたいでその人の言葉は聞き取れた。
それでなんとなく今は寝てるふりをしてたほうがいいと思った。
ここに財布置いてなくてよかった。
財布は隠し部屋にあるから安全なはずだ。
普通の人には見つけられない。
「そうっすね。次は和室とかいきますか?」
私の頭の所で知らない人たちが話してる。
「そうだな。1階の方があるだろう。…ったく、ここからじゃなくて窓わって1階から入ればよかったぜ。でもあのガキ可愛くねえか?後でまた取りに来ようぜ。1番の収穫だろ!」
だんだん声が遠ざかってく。
安心感が半端ないけど取りに来るって何?!
めちゃくちゃ怖い!
ままはまだ帰ってないの?!
鍵は閉めてった筈だし…。
ってことは本当にここから入ってきたの?!
何者??
普通じゃないよあれ!
「逃げなきゃ!くぅたんきぃくん行くよ!」
和室は玄関と1階への階段から見えないところにある。
だから行くなら今のうち。
私はくぅたんときぃくんを抱えてあの2人が和室に入ったのを確認してから階段を降りた。
そして足音をたてないように外に出た。
ここから向かうのは交番。
学校の近くにある交番でここからは少し離れてる。
靴を履かずに出てきたせいで足が痛い。
それにくぅたんときぃくんを抱えて外を走るのは恥ずかしい。
もう高校生だしね…。
「大丈夫、もうすぐ着くからね!」
自分に言い聞かせるように話しかけて全力で走る。
この時、寝る前の自分を呪いたくなった。
携帯を充電が切れたまま放置したことが許せない。
「はぁっ…はぁー。着いた!」
「あの、家に知らない人がいるんですけど!」
私は交番に着くなりすぐに話した。
「じゃあ、家まで案内してくれるかな?」
「はい!…こっちです。」
家に向かう途中早歩きしながらさっきのことを詳しく話した。
そして話終わる頃には家についた。
でもここまでがいつもより長かった気がする。
