「まあこれで鵺の頭おかしい言動も、あの配送会社の実態も分かってきたね」
美形なのに鵺は勿体なと常々思っていたが、怒りは人を変えてしまうらしい。「俺がクズどもを支配する世界を作り上げる。どうか、俺とその世界の為に皆の光になってくれないか」
鵺は私の元へ跪くが、私はどうしても鵺の考えに賛同してあげられない。「クズを支配する傀儡政治に加担するつもりは
一ミリもないよ。で、アンタって名前知ってたっけ?」
「町の曲がり角で出会った美少女」
「じゃない。私の名前を尋ねたり、呼んだことあったかなあって」
思い出しても、鵺と触れあった時間も短すぎて分からない。
「協力してほしいはずの私のことを何も知ろうとしない貴方は、きっとこれはだれのためでもない。自分の為にしていることだと思う」
ぶわっと鵺の周りに黒い霧が浮かび上がったけれど、私にはもうその黒い霧の意味が分かっていたので、何も言わなかった。鵺の戦っているものの巨大さは分かったけれど、そこから改造銃に走る気持ちは分からない。だから、きっと私にはそれが理解できない。今、この状況下で事件は起きているのに、掴みとれるような確かな物は何一つ見えていない。
「取りあえず、豆田町から銃刀法違反の犯罪者出したくないから、これは全部処分するしかないよね」
「うーーん。このまま捨てたら怖いっすよね。バラバラにしないと」
「どうしようか」
「ま、まて。その」
「まだ何か用事?」
苛々して振りかえると、鵺が頬を染めていた。
「な、名前を呼ぶと、魂を掴まれるぞ」
「いや、気持ち悪い良いわけ考えなくていいから」
すると、深呼吸をして、私の目を見た。
「比奈。俺のモノになってくれ」
「おおおおう」
「どうしました、お嬢」
つい、不意打ちの鵺の甘い言葉によろめいてしまった。
「駄目だ。これはあかん。性格が中二病なのに、不覚にもときめいてしまった」
「嗚呼、普段、そんなラブに免疫も縁もないからっすね」
数日の付き合いの鳩が、あたかも私の人生を知っているかのように慰めてくれるが、ふざけるな。その通りです。でも、鵺だってそのイケメン顔を真っ赤にして、私の名前を呼び捨てにするのはずるい。卑怯だ。顔面兵器め。
「鵺、私があんたの野望の手助けをすることはないけど、でも私はクラスの副委員長としてあんたのこと大事なクラスメイトだと思うから」
「ただのクラスメイト、だと」
「ううん。大事なクラスメイト」
鵺が傷ついた顔でよろけた後ろを、鳩が段ボールを持って外へ出ていく。隙を突いて、全部運び出してくれるらしい。
「だから、誰かを傷つけるだけの復讐は止めて。その経験を生かして私を助けて欲しい。うちの雛人形を守らせて」
「だが、そんな小さなことを積み重ねても、烏丸グループの勢力は衰えないんだ」
「あのね、鵺の考え方が誰かを傷つけるだけだってば。自分で自分を汚していってるよ。私には見える」
今も、薄い灰色の靄を出していることを。私が偉そうにお説教モードに入ろうとしたら、鵺は少し考え込んだように自分の真っ黒な手を見た。
「俺は別にこの手がまっくろになろうが覚悟はある。自分で捲いた種で何をしようと、俺はやり解けるためには、確かに自分の心を黒くしても問題が無い。だが、比奈はどうだと言うのだ」
鵺は自分の真っ黒な手を、見せつけてきた。
美形なのに鵺は勿体なと常々思っていたが、怒りは人を変えてしまうらしい。「俺がクズどもを支配する世界を作り上げる。どうか、俺とその世界の為に皆の光になってくれないか」
鵺は私の元へ跪くが、私はどうしても鵺の考えに賛同してあげられない。「クズを支配する傀儡政治に加担するつもりは
一ミリもないよ。で、アンタって名前知ってたっけ?」
「町の曲がり角で出会った美少女」
「じゃない。私の名前を尋ねたり、呼んだことあったかなあって」
思い出しても、鵺と触れあった時間も短すぎて分からない。
「協力してほしいはずの私のことを何も知ろうとしない貴方は、きっとこれはだれのためでもない。自分の為にしていることだと思う」
ぶわっと鵺の周りに黒い霧が浮かび上がったけれど、私にはもうその黒い霧の意味が分かっていたので、何も言わなかった。鵺の戦っているものの巨大さは分かったけれど、そこから改造銃に走る気持ちは分からない。だから、きっと私にはそれが理解できない。今、この状況下で事件は起きているのに、掴みとれるような確かな物は何一つ見えていない。
「取りあえず、豆田町から銃刀法違反の犯罪者出したくないから、これは全部処分するしかないよね」
「うーーん。このまま捨てたら怖いっすよね。バラバラにしないと」
「どうしようか」
「ま、まて。その」
「まだ何か用事?」
苛々して振りかえると、鵺が頬を染めていた。
「な、名前を呼ぶと、魂を掴まれるぞ」
「いや、気持ち悪い良いわけ考えなくていいから」
すると、深呼吸をして、私の目を見た。
「比奈。俺のモノになってくれ」
「おおおおう」
「どうしました、お嬢」
つい、不意打ちの鵺の甘い言葉によろめいてしまった。
「駄目だ。これはあかん。性格が中二病なのに、不覚にもときめいてしまった」
「嗚呼、普段、そんなラブに免疫も縁もないからっすね」
数日の付き合いの鳩が、あたかも私の人生を知っているかのように慰めてくれるが、ふざけるな。その通りです。でも、鵺だってそのイケメン顔を真っ赤にして、私の名前を呼び捨てにするのはずるい。卑怯だ。顔面兵器め。
「鵺、私があんたの野望の手助けをすることはないけど、でも私はクラスの副委員長としてあんたのこと大事なクラスメイトだと思うから」
「ただのクラスメイト、だと」
「ううん。大事なクラスメイト」
鵺が傷ついた顔でよろけた後ろを、鳩が段ボールを持って外へ出ていく。隙を突いて、全部運び出してくれるらしい。
「だから、誰かを傷つけるだけの復讐は止めて。その経験を生かして私を助けて欲しい。うちの雛人形を守らせて」
「だが、そんな小さなことを積み重ねても、烏丸グループの勢力は衰えないんだ」
「あのね、鵺の考え方が誰かを傷つけるだけだってば。自分で自分を汚していってるよ。私には見える」
今も、薄い灰色の靄を出していることを。私が偉そうにお説教モードに入ろうとしたら、鵺は少し考え込んだように自分の真っ黒な手を見た。
「俺は別にこの手がまっくろになろうが覚悟はある。自分で捲いた種で何をしようと、俺はやり解けるためには、確かに自分の心を黒くしても問題が無い。だが、比奈はどうだと言うのだ」
鵺は自分の真っ黒な手を、見せつけてきた。



