ほうれん草溺死殺人事件――巫女は現場を目の前で見ていた! という刑事ドラマが始まってしまったが、此方も此方で、なんか尊いお方がどうのこうのって言われた子狐を飼うなんて怖い。
「ええと。人には見えないものであります故、人と同じものを食べたり、行動したりはないかと」
「何もしなくてもいいの? 触るのも止めとくの?」
「っち。何度、その手を醤油に染めれば満足なのか」
「菖さん?」
「お豆腐さんが目の前で殺されていますので、失礼」
「ちょっ」
そのまま、押し切られる形で電話を切られた。明日、豆腐の様に無残な姿の神主さんが発見されても、犯人は醤油だと証言しておこう。
返し忘れた透真君の帽子の中、子狐はまだ少し震えているように思えた。尊いお方に身請けされるような凄い子なのか、豆腐とほうれん草殺人事件に負けてしまうような大した事件でもない子なのか、よく分からないけど。ほとぼりが冷めるまでならいくらでも居て構わない。
猫や犬を飼ってみたかったけど、透真くんの家の犬、ワントン博士が私をかばって黒い靄に飛びかかったことがあった。ワントン博士に特に外傷とか無かったけれど、あれが続けば動物にも害が起こるのではないかと怖くて飼いたいと言った事が無い。
なので、皆には石にしか見えなくても、動物と一緒に部屋で過ごせるのは少しわくわくする。まずは、恥ずかしくないように片付けなくてはいけない。
「トントン、お嬢」
「うわ。口でノック音言ってる」
「ええと。人には見えないものであります故、人と同じものを食べたり、行動したりはないかと」
「何もしなくてもいいの? 触るのも止めとくの?」
「っち。何度、その手を醤油に染めれば満足なのか」
「菖さん?」
「お豆腐さんが目の前で殺されていますので、失礼」
「ちょっ」
そのまま、押し切られる形で電話を切られた。明日、豆腐の様に無残な姿の神主さんが発見されても、犯人は醤油だと証言しておこう。
返し忘れた透真君の帽子の中、子狐はまだ少し震えているように思えた。尊いお方に身請けされるような凄い子なのか、豆腐とほうれん草殺人事件に負けてしまうような大した事件でもない子なのか、よく分からないけど。ほとぼりが冷めるまでならいくらでも居て構わない。
猫や犬を飼ってみたかったけど、透真くんの家の犬、ワントン博士が私をかばって黒い靄に飛びかかったことがあった。ワントン博士に特に外傷とか無かったけれど、あれが続けば動物にも害が起こるのではないかと怖くて飼いたいと言った事が無い。
なので、皆には石にしか見えなくても、動物と一緒に部屋で過ごせるのは少しわくわくする。まずは、恥ずかしくないように片付けなくてはいけない。
「トントン、お嬢」
「うわ。口でノック音言ってる」



