確かにあるのに、目に見える位置に到着する前には、消えて隠れてしまう。お爺ちゃんが思い出に逃げ込み、現実を忘れようとしているのなら私が出来ることはしたいって思う。
 パンはパンでもルパンと答えた豪快なお爺ちゃんに、私はいつか本当の答えを伝えたいと思っていたから。パンはパンでも食べられないパンは、駅前にたまに売りに来る
『限定一斤だけの幻の食パン5900円』だと。