諌山のお爺ちゃんの親切に、プリンを全部食べてしまったことへの罪悪感が生まれたけれど、戻せと言われても無理だ。仕方なく、美少女らしく微笑んでおいたら、頭をお爺ちゃんに叩かれた。
「さ、とっととお帰り。鵺のことは私に任せといて。自然豊かなこの日田で、更生を頼まれたのだからやれるところまで頑張ってみるわ」
「銃っすよ。とにかく、鵺君なんて銃さえなければなんとかなるんっすから」
「んもーう! 子供たちが余計な心配なんてしなくていいのよ。さ、さっさと家で宿題でもしてなさい」
追い払われ、写真館から出る頃には、雨は止んでいた。空から、夕陽のオレンジ色の光が所々差し込んでいる。
「うわ、やっべ。そろそろ俺も帰らな家庭教師来るばい」
「あれ? 大学推薦じゃなかったっけ?」
「欠点対策ばい。一学期に三つ欠点あると推薦貰えないって噂あるけん」
欠点って、36点以下の赤点で、一年間で6つとれば留年と噂とあれか。私は一年の時、4つしか取っていないから噂の真相はわからないけど。
「じゃ、これじいちゃんに渡しといてな」
「え、透真くん!」
透真君は私に額縁を押しつけると、さっさと自転車に飛び乗り去ってしまった。まさに月日が逃げるのは早いものだ。うん。ちょっと言葉はあやふやだし意味は忘れたけど。
「なかなか頼もしい幼馴染っすね」
「うん。あのね、学校じゃめっちゃモテるしね」
「きゃーっ 比奈、その人ねえええええ」
ブレーキの音とともに、自転車が投げ捨てられた。猪突猛進。その姿、まさにイノシシのごとし。
「忘れてた。愛海が鳩を見たいって言ってたんだった」
「お嬢のお友達っすね。こんちはー」
「きたー! イケメン! 彼女いますか? どんな子がタイプですか? 名字は? ラインの番号交換してください。お歳は」
愛海のマシンガントークに、鳩が圧倒され固まっている姿は面白かった。
「俺、聖徳太子じゃないんで、いきなり質問責め困るっす」
長くなりそうだからと、駄菓子の購入を進めて縁側に案内するその手慣れた動作は、確かにホストと言われたらホストっぽい。本物のホスト見たことないけど。鳩は愛海に任せて、私は店のシャッターを全部上げた。が、身長が小さいがために頭に落ちてきてその場にうずくまっていると、お爺ちゃんが簡単にシャッターを全部上げて私の頭を撫でてくれた。
「何しよんとね」
「さ、とっととお帰り。鵺のことは私に任せといて。自然豊かなこの日田で、更生を頼まれたのだからやれるところまで頑張ってみるわ」
「銃っすよ。とにかく、鵺君なんて銃さえなければなんとかなるんっすから」
「んもーう! 子供たちが余計な心配なんてしなくていいのよ。さ、さっさと家で宿題でもしてなさい」
追い払われ、写真館から出る頃には、雨は止んでいた。空から、夕陽のオレンジ色の光が所々差し込んでいる。
「うわ、やっべ。そろそろ俺も帰らな家庭教師来るばい」
「あれ? 大学推薦じゃなかったっけ?」
「欠点対策ばい。一学期に三つ欠点あると推薦貰えないって噂あるけん」
欠点って、36点以下の赤点で、一年間で6つとれば留年と噂とあれか。私は一年の時、4つしか取っていないから噂の真相はわからないけど。
「じゃ、これじいちゃんに渡しといてな」
「え、透真くん!」
透真君は私に額縁を押しつけると、さっさと自転車に飛び乗り去ってしまった。まさに月日が逃げるのは早いものだ。うん。ちょっと言葉はあやふやだし意味は忘れたけど。
「なかなか頼もしい幼馴染っすね」
「うん。あのね、学校じゃめっちゃモテるしね」
「きゃーっ 比奈、その人ねえええええ」
ブレーキの音とともに、自転車が投げ捨てられた。猪突猛進。その姿、まさにイノシシのごとし。
「忘れてた。愛海が鳩を見たいって言ってたんだった」
「お嬢のお友達っすね。こんちはー」
「きたー! イケメン! 彼女いますか? どんな子がタイプですか? 名字は? ラインの番号交換してください。お歳は」
愛海のマシンガントークに、鳩が圧倒され固まっている姿は面白かった。
「俺、聖徳太子じゃないんで、いきなり質問責め困るっす」
長くなりそうだからと、駄菓子の購入を進めて縁側に案内するその手慣れた動作は、確かにホストと言われたらホストっぽい。本物のホスト見たことないけど。鳩は愛海に任せて、私は店のシャッターを全部上げた。が、身長が小さいがために頭に落ちてきてその場にうずくまっていると、お爺ちゃんが簡単にシャッターを全部上げて私の頭を撫でてくれた。
「何しよんとね」



