ペラペラと喋りながら、隅っこの小さなガスコンロでお湯を沸かしだした。冷蔵庫からは駅前の有名なケーキ屋のプリンなんて取り出してきた。これはラッキーだ。
「ってか諌山のおじいちゃんが結婚できたってほうが不思議だよ」
「わ。透真くん」
「ふふふ。良い女だったわよ。籍は入れてないけど」
あっけらかんと笑うので、それ以上追及する雰囲気ではなくなった。が、私たちはお爺ちゃんの事を聞きに来たわけじゃなくて、鵺のことを知りたいのだ。「
鵺ねえ。あの銃のライターを渡したのは私よ」
「ライター!」
あっさりと謎が解けた。
「けど」
紅茶を入れながら、お爺ちゃんは首を傾げる。
「私が上げたデザインとは違うのよね。ダサいから自分で選び直したのかしら。もしかして本物?」
「鵺君のピストルのデザインが変わったのはいつ頃っすか?」
「……さあねえ。私が渡したのは去年の冬ぐらいよ」
「……」
一瞬だけ鳩は下を向く。何か考えているようだった。「どうしたの?」
「や、えっと、歌舞伎町で拳銃が盗まれた事件と日にちを擦り合わせてただけっす」
「歌舞伎町」
そう言えば、こいつそこでホストしてたとか言ってたよね。全然こんなふざけた奴がホストだったなんて想像できない。
「でもまあ、どうせ本物でも弾なんていつか尽きるでしょ。本物だった場合は私が警察に通報するけど、あの子そんな無茶しないでしょ」
「何回も私、危険な目にあってますけど」
「んまあ!」
大げさに驚いた後、壁に頭をぶつけてお爺ちゃんは踊り出した。
「じゃあ私が眠っている間に取ろうかしら」
「流石お爺ちゃん!」
「ただし、美容を気にかけて8時に眠るから決行は朝ね」
「頑張ってっす!」
「可愛いお顔ね。頑張るわ」
お爺ちゃんが鳩の3倍は在りそうな屈強な腕を曲げて力瘤を作ると、鳩は真っ青になって明らかに引いている。透真くんは奥の写真スペースの機材に興味津々だし、私はのんびり壁の写意を見ながらプリンを拝借した。古い写真が額縁に入れられて飾っている。でも良く見れば、この豆田町に縁のある人たちばかりだ。うちのお爺ちゃんとお婆ちゃんの結婚式っぽい写真も見つけた。
「あ。透真君、見て」
「ん?」
天井の一番上から2段下がったあたりだろうか。そこに袴姿の少女が椅子に座り、後ろで二人の男性が椅子に手を置いて微笑んでいる写真が飾られている。
「あれ、透真くんのお爺ちゃんとお婆ちゃんと――誰?」
「あ、おじちゃんかも」
「えー、脚立脚立」
「のーーーーう! お嬢はスカートで脚立に乗ったら駄目っす!」
「ってか諌山のおじいちゃんが結婚できたってほうが不思議だよ」
「わ。透真くん」
「ふふふ。良い女だったわよ。籍は入れてないけど」
あっけらかんと笑うので、それ以上追及する雰囲気ではなくなった。が、私たちはお爺ちゃんの事を聞きに来たわけじゃなくて、鵺のことを知りたいのだ。「
鵺ねえ。あの銃のライターを渡したのは私よ」
「ライター!」
あっさりと謎が解けた。
「けど」
紅茶を入れながら、お爺ちゃんは首を傾げる。
「私が上げたデザインとは違うのよね。ダサいから自分で選び直したのかしら。もしかして本物?」
「鵺君のピストルのデザインが変わったのはいつ頃っすか?」
「……さあねえ。私が渡したのは去年の冬ぐらいよ」
「……」
一瞬だけ鳩は下を向く。何か考えているようだった。「どうしたの?」
「や、えっと、歌舞伎町で拳銃が盗まれた事件と日にちを擦り合わせてただけっす」
「歌舞伎町」
そう言えば、こいつそこでホストしてたとか言ってたよね。全然こんなふざけた奴がホストだったなんて想像できない。
「でもまあ、どうせ本物でも弾なんていつか尽きるでしょ。本物だった場合は私が警察に通報するけど、あの子そんな無茶しないでしょ」
「何回も私、危険な目にあってますけど」
「んまあ!」
大げさに驚いた後、壁に頭をぶつけてお爺ちゃんは踊り出した。
「じゃあ私が眠っている間に取ろうかしら」
「流石お爺ちゃん!」
「ただし、美容を気にかけて8時に眠るから決行は朝ね」
「頑張ってっす!」
「可愛いお顔ね。頑張るわ」
お爺ちゃんが鳩の3倍は在りそうな屈強な腕を曲げて力瘤を作ると、鳩は真っ青になって明らかに引いている。透真くんは奥の写真スペースの機材に興味津々だし、私はのんびり壁の写意を見ながらプリンを拝借した。古い写真が額縁に入れられて飾っている。でも良く見れば、この豆田町に縁のある人たちばかりだ。うちのお爺ちゃんとお婆ちゃんの結婚式っぽい写真も見つけた。
「あ。透真君、見て」
「ん?」
天井の一番上から2段下がったあたりだろうか。そこに袴姿の少女が椅子に座り、後ろで二人の男性が椅子に手を置いて微笑んでいる写真が飾られている。
「あれ、透真くんのお爺ちゃんとお婆ちゃんと――誰?」
「あ、おじちゃんかも」
「えー、脚立脚立」
「のーーーーう! お嬢はスカートで脚立に乗ったら駄目っす!」



