想像がピンぼけの状態ならその眼も当てにできない(マーク・トウェイン)
 ファインダーから見慣れた光景を目にしたら、私は何か変化をつけるだろう(ゲイリー・ウィノグランド)

「いやー、すっげビビった。雷が鳥居に落ちるなんて。初めてじゃね?」
「びっくりッスよね。怖かったあ。俺、ちびるかと思ったッス」
「……汚い。寄よらないで」
 何で、鳩と透真君が意気投合しているんだろう。一応、巫女さんに電話番号を書いたメモを残してこの狐を連れて帰ってしまったけれど、本当に良かったのか不安。でもなんだか、あの雷。この狐を狙ったように思えたんだ。
「へー。鳩さんって言うんすね。東京から来たんですかあ。俺も第一志望は東京なんですよね」
 ……透真君が敬語を喋っている。敬語を喋ると、なんだか本当にさわやかなスポーツ少年だ。
「ってか東京だったんだ」
「まあな。頭が悪いから推薦狙いだ」
 じゃあ、鵺なんかを自転車で敷こうとするなよ。推薦なんて貰えないじゃん。
「そうなんッスね。頑張ってください。あ、駄菓子食べます?」
「食う食うっ」
 二人は私の家の店なのに、いかにも自分たちの店の様なこなれた感じで駄菓子を選び始めた。鵺は雷にびびったのか、また無言のまま消えたし。あいつ、器が小さいと思う。
「ねえ、本当にあいつが持っているの本物だったらヤバくない? 警察に通報する?」
「まさか。ってかあいつ、そんなのどうやって手に入れるんだよ」
「分からないっすよ。今の時代、3Dプリンターで銃が復元できちゃうらしいですからね。日本じゃ無理だけど」
 無理なんじゃない。でもあいつの自信満々さは本当に危ういうと言うか。本当に撃ってもいいと思ってそう。「
でもね、今の日本では少年一人が銃を持って立ち上がっても戦車で突っ込めば終了っすよ」
「でも日田だからなあ。周りを山に囲まれてるから一度皆が奴に捕まれば此処で兵を上げて、みたいな」
 此処で仲間を募り、増やし、国に見えないように戦う準備をする。おいおいおい。あいつが日田に来た理由が、国家から目を晦ますためとか言ったら私、笑っちゃうんだけど。
「あのね、お嬢。俺、前の仕事場で拳銃のライター持ってる人一杯居たからあれ、ライターかもね」