カフェ『アルジャーノン』の、お兄さん☆



「怖がってません。ちょっと1人になりたいんです」
 後ろ手で、出口のドアノブを探す。岳理さんは呆れて近づいて来ます。
「きゃーっきゃーっ! 近づかないでー!!」
 見つけたドアノブを握り締めた瞬間、ガチャリとドアノブが回った。


「お主、何してるんだ」
「あーっ岳リンが、みかどちゃん襲ってるー」

 グイッと肩を抱き寄せたのはリヒトとトールだった。

 リヒトとトールに守られるように挟まれてみかどは座った。縁側には、美しい葉桜が見え、池には鯉が泳いでいる。そして、それを目を輝かせて見ているのは、ドラガン。
 早く帰りたかったがこの三人のせいで、この部屋に連れて来られた。畳が五十畳はある広い広い部屋に、テーブルがぽつり。後は庭しか見るものがなく。岳理が、お茶を用意してくれている今、こっそり逃げ出したい気分だった。


「2人は、岳理んとどういった関係ですか」
 寛ぐ2人に聞くと、あっさり教えてくれた。
「中卒の俺らに大検受かる様に家庭教師してくれたんだ。参考書とかもくれたし」
「パソコンでデザインするから詳しいやり方も教えてくれたよ。あ、この前借りたベンツは岳リンのだよー」
「今は、岳理さんの好感が上がる話は聞きたくないです……」


何で岳理の良い一面を知らないといけないのかと唇を尖らせる。
「そこは、好感度上げとけよ」
 不機嫌そうにお盆を持って登場し逃げ出すチャンスは完全に無くなった。
「何でこんなに、みかどちゃん警戒させたの」
「やっぱ襲ったんじゃない」

 二人の美声に、岳理が舌打ちし乱暴にお茶を置く。中は何故か珈琲で吹き出しそうになったけど、岳理の事だから、コップを見つけられなかったのだろうか。
「花魁にお前を迎えに行けと言われたが、儂らが来て正解だったな」
 ドラガンが縁側から此方を向いて話しかけてきたが、みかどはそっぽを向く。
「今、ドラガンさん嫌い月間中ですけど!」
「なんじゃ 強化月間みたいなそれは」
 先日のピーマンの時の事、店長についてを同情やら哀れみやら言ったのを許せないで居たらしい。
「お前らこそ、仕事は」

 適当に見繕ってきたらしいお茶菓子の中から、お煎餅を食べる岳理。
「今日は前々から、ドラガンさんにここら辺の案内頼まれてたんだ」
「みかどちゃん送ったらカフェ手伝いに戻るよ」
「ありがとうございます。すぐ帰りましょう!」
 みかどが立ち上がると刺さる視線を感じる。
「な、何ですか」
 岳理がずっと睨んでいる。

 眼力が在りすぎて、怖いとか何でプレッシャー与えるんですか!、と言えない目力にたじろく。
「免疫ないって面倒臭えな」
 そうポツリと零すと、2人がすかさずキャッチしました。
「何何何何!」
「岳理くん、どうしたの」
 2人に絡まれながらも、無表情で煙草を吸う岳理。煙草を吸う唇が動くと、先ほどの意味不明な言葉を思い出して苦しくなる。

「お手洗い貸して下さい!」