四匹の店員は、綺麗な理人さんにうっとりしている。一匹一匹、色の違うお皿に盛られたご飯を食べてはトールさんを見てうっとり、食べては見てうっとりを繰り返す。でも、その美しい顔にみかどは騙されないと誓う。
「聞き出す事まで知ってるのに、お兄さんの前で言うなんて駄目ですよ」
「俺、女の子が影で努力してるのを気づかない奴、嫌いだから」
「それはっ私が勝手にやって」
すると、理人の長い人差し指がみかどの唇に触れた。
「ただ、女の子は、男を振り回せば良いの」
そう、言う理人は、魔性で極上にセクシーで艶めいていた。
「鳴海んは、もっと自分の感情に正直になるべきだし、皆が皆、腫れ物みたいに扱っても成長できないだろ」
一喜一憂してるみかどを、理人の笑顔は全て受け止めて、安心させてくれる。店長には悪いがみかどだって店長や、出会った人々を大切にしたい。だから、それがエゴだとしても怖いけど、前に進む。
散々、引っ掻き回し理人が帰ると、二人は気まずくぎこちない時間を過ごた。それが、今の二人の距離。優しくされればされる程、真実は遠ざかる。



