その日は、みかどが手伝いをしようと店に入ってきた時点で、猫カフェに姿を変えていた。店長も猫耳だった。定宗を筆頭に、猫四天王、その配下がぞろぞろと店の中に歩き回っている。お客も週に一度の猫カフェを目的に来ている人が多かった。

「透さんと理人さんたちの火曜とこの金曜が一番売上イイです」

 店長も、この前の影はどこへやら笑顔でスキップしている。そんな猫カフェも終盤になった夕方。モデルの様な、高身長の美少女が入店した。

 サングラスに長い手足、ミニスカートから生える太ももは白く美しい、誰もが目を奪われる美少女。だが、みかどはどこかで見た事あるような既視感を感じていた。

「鳴海、よろしくねん」
 その美少女は、キッチンにいる店長に投げキッスをすると、お店の一番奥の席に座る。その姿を見た猫たちがぞろぞろ彼女の後を追っていく。

みかどがお冷やを渡すと、その美少女は微笑んでくれた。

「ありがとう。みかどちゃん」
「えっどうして私の名前を……」
 驚いき後ずさると、美少女はサングラスを外した。

「彼氏の鳴海から、色々聞いていますの」
「かれ、しー……」
「もぉ! 理人さん!」
 けれど、その絶望はすぐに店長の怒鳴り声でかき消された。

「ハーイ。リヒトでーす」