「うん。いつまでも、居ない人の影に怯えちゃ駄目だから、頑張ってみる」
 と言っても、長年父が正しいと刷り込まれて生きてきて、見放された今、まだ現実を上手く直視できてはいない。けれど、立ち止まっていても仕方が無いのだ。

「あんま、頑張りすぎないでね。いつでも相談のるよ」
 そう言った千景ちゃんは、空を見上げた。
「あら、止んだと思ったらもう晴れだしたわね」
 見上げた空は、曇を掻き分けて、光が差し込んでいた。本当に、みかどの心を映し出しているかのようで思わず笑ってしまう。願わくは、雲を蹴散らして晴れ晴れした空を拝みたい。

「そうだ!千景さん、アドレス教えてくれる」
「いいよ~。交換した気でいたわぁ」

千景に背中を大きく押され、晴れ晴れした空を見上げながらみかどは微笑んだ。