カフェ『アルジャーノン』の、お兄さん☆


「だから、俺はデザイナーに。君みたいな可愛い子にお手軽に可愛くなって欲しくてね」
 そう言って金髪の人は、エプロンを指差した。
「君の永遠の専属デザイナー、リヒトと申します」
 そして、エプロンを捲りあげて、口づけてきた。
「そして、俺は君の永遠の僕(しもべ)。悲しい時も嬉しい時も、困った時もおそばに居させてね」
 ほっぺについていた蜂蜜を、指で掬われ、舐められた。そして、渡された名刺には高級ホストクラブの名刺で『No.1トール』と写真、携帯の番号が書かれていた。
「ほ、すと」

 初めて見る職業にあわあわしていると、トールに慌てて名刺を奪われる。

「ごめん、それバイト先。俺はこっち。メイクの専門学生なの」
 ホストをバイトしているとは、さらに未知の説明にみかどは立っているのがやっとだった。

「外で待っている女の子たちは、この双子目当てでもあり、二人に洋服のコーディネートしてもらったりメイクの指導してもらったりと、月曜は女の子がいっぱい来るんです」「そ、そうだったんですね」
 外で待っているお客が、皆二人目当てなのは、その化粧や服装のヤル気から分かる。
 可愛くて女の子らしいお客を見て、みかどは自分の部屋に置いたえる段ボールの中身を思い出した。ジャージに母が着てた古いワンピース、制服に体操服、ジーンズにTシャツ。お洒落なんてしたことがない。だが、オシャレをしなかったわけでは無く出来なかったのだと思い出した時だった。
 開店時間と同時に、待ち切れなくて店長の制止を振り切り、入ってきた集団にみかどは二人の前からはじき出された。

「きゃあっ」
「みかどちゃん、危ない!」