「新聞紙に、2つ穴が開いててもわざわざ目が見える位置に穴が開いてるんだぜ」
 そして、更に驚く事を言った。

「さっきから、202号室の窓を見たり、戻ったり、うろうろしてるんだよ」
「えっ」
「つまり、間違いなく」
皇汰の目が光り、息を飲む。
「下着泥棒、だ」
 みかどは目をパチパチした後、首を傾げた。
「お兄さんの……」
 すると、皇汰はみかどの頭を軽く叩き、そのままその手を握りしめた。

「馬鹿! 千景さんの部屋は本来なら此処だろ。それに、此処の窓にはいつも干してあるんだろ、この前の紐パンの様なようなのが」
「あっ」
「そして202号室は土日は静かで人が居ない。狙うなら――分かるだろ」
 なる程。流石、皇汰。某有名私立中学、首席で生徒会長でバスケ部部長。頭の回転が凄すぎる。
「あ、皇汰も定宗さんに挨拶しなきゃだね」
「あぁ! 今は千景さんの話だろ」

正確には、千景の下着の話だ。皇汰の正義感がウズウズしているのは分かった。正義だけでは無く千景に褒められたくてうずうずしていることも。けれど、相手は大人だし危険、姉の思い出はきっと関わらないで欲しいだろう。
「警察に電話……」