冷ややかな声で告げると、向こうで岳理さんは叫んでいるのが伺えた。
「俺たちは知らないよ。だから馬鹿な事するなって反対したんだよ」
そう言って、携帯をトールに渡す。
「孔礼寺くんはやる事が陰湿なんだよ。俺に彼女のふりを頼んで、鳴海んに目撃させようとしたでしょ それって、みかどちゃんの気持ちを軽んじてる、不誠実な事だからね。もう4回程死んで生まれ変わってくれば」
そう一方的に言うと、電源を切った。
「あ……、あの、今のは……」
「つまり、そう言う事だよ」
リヒトがニヤニヤと、トールをつつく。
「ごめんね。孔礼寺くんに頼まれて彼女のフリしようとしたんだ。途中で馬鹿らしくて辞めたけど」
申し訳なさそうにトールが頭を下げると、ドラガンは携帯の画面を見た瞬間に出もせずに切る。「本当に、岳リンはヘタレだよねー」
ヤレヤレといった様子でみかどの携帯の電源を入れると千景が着信拒否にした。だが履歴は残るのか画面には着信が18件。
「どうせ、岳リンの事だから、格好つけて身を引いたつもりだろうけどさ」
座ったまま、葉瀬川が少年スキップをゴミ箱へ投げ入れる。
「でもこうして、馬鹿みたいにみかど女史を探してるなら、無駄な努力だよね」
そう言って、ゴミ箱のスキップを大事そうに取り出す。
「みかどちゃん、鳴海んに遠慮したって、気持ちは正直だよ」
「悔しいけどさ、今もこうしてみかどちゃんを想って、色んな場所を探してると思うよ」
「それって『愛』を感じるますよねー」
店長の言葉にみかどは言葉を失う。
「が、岳理さんがお兄さんなら私、私、なんて幸せモノ何だろうって――」
そう感謝の言葉を言おうとして、みかどはポロポロと涙を零す。それは『真実』、だけれど『嘘』でもある。本音は違う。だが、血が繋がっているのならばそう思うのが一番幸せだとみかどは思っていた。その時、丁度、カフェのドアベルが鳴り、部活帰りの皇汰が様子を見に来た。
「どうしたの全員集合して」
「皇汰」
「うわっなんで泣いてるの」
「皇汰、自転車貸して!」
「姉ちゃん!」
皆の優しさで背中を押して貰ったみかどは、何も持たず身一つで自転車に飛び乗ると、孔礼寺を目指した。勇気づけられ、蓋をして逃げて、忘れて行った気持ちをきちんと拾ってどうするか考えなければいけない。それは真実を知ってからでも遅くないはずだ。
様々な車とすれ違い、遠くの山を目指した。山を登りだすと自転車ではきつくて、途中のバス停で止めて鍵をかけると、今度は山を走って登りだした。足が痛くて、途中で靴の底が擦れても、みかどはただただ走った。冷たくて大きな階段を一段一段登り、真実に近づくのは怖かった。だが、誰も逃げ出していない。逃げていた店長も、みかどが引きずりだしたのに、自分だけ安全な場所で隠れているのはずるいのではないか。みかどはただただ、足の皮が擦れても良いと登った。
「俺たちは知らないよ。だから馬鹿な事するなって反対したんだよ」
そう言って、携帯をトールに渡す。
「孔礼寺くんはやる事が陰湿なんだよ。俺に彼女のふりを頼んで、鳴海んに目撃させようとしたでしょ それって、みかどちゃんの気持ちを軽んじてる、不誠実な事だからね。もう4回程死んで生まれ変わってくれば」
そう一方的に言うと、電源を切った。
「あ……、あの、今のは……」
「つまり、そう言う事だよ」
リヒトがニヤニヤと、トールをつつく。
「ごめんね。孔礼寺くんに頼まれて彼女のフリしようとしたんだ。途中で馬鹿らしくて辞めたけど」
申し訳なさそうにトールが頭を下げると、ドラガンは携帯の画面を見た瞬間に出もせずに切る。「本当に、岳リンはヘタレだよねー」
ヤレヤレといった様子でみかどの携帯の電源を入れると千景が着信拒否にした。だが履歴は残るのか画面には着信が18件。
「どうせ、岳リンの事だから、格好つけて身を引いたつもりだろうけどさ」
座ったまま、葉瀬川が少年スキップをゴミ箱へ投げ入れる。
「でもこうして、馬鹿みたいにみかど女史を探してるなら、無駄な努力だよね」
そう言って、ゴミ箱のスキップを大事そうに取り出す。
「みかどちゃん、鳴海んに遠慮したって、気持ちは正直だよ」
「悔しいけどさ、今もこうしてみかどちゃんを想って、色んな場所を探してると思うよ」
「それって『愛』を感じるますよねー」
店長の言葉にみかどは言葉を失う。
「が、岳理さんがお兄さんなら私、私、なんて幸せモノ何だろうって――」
そう感謝の言葉を言おうとして、みかどはポロポロと涙を零す。それは『真実』、だけれど『嘘』でもある。本音は違う。だが、血が繋がっているのならばそう思うのが一番幸せだとみかどは思っていた。その時、丁度、カフェのドアベルが鳴り、部活帰りの皇汰が様子を見に来た。
「どうしたの全員集合して」
「皇汰」
「うわっなんで泣いてるの」
「皇汰、自転車貸して!」
「姉ちゃん!」
皆の優しさで背中を押して貰ったみかどは、何も持たず身一つで自転車に飛び乗ると、孔礼寺を目指した。勇気づけられ、蓋をして逃げて、忘れて行った気持ちをきちんと拾ってどうするか考えなければいけない。それは真実を知ってからでも遅くないはずだ。
様々な車とすれ違い、遠くの山を目指した。山を登りだすと自転車ではきつくて、途中のバス停で止めて鍵をかけると、今度は山を走って登りだした。足が痛くて、途中で靴の底が擦れても、みかどはただただ走った。冷たくて大きな階段を一段一段登り、真実に近づくのは怖かった。だが、誰も逃げ出していない。逃げていた店長も、みかどが引きずりだしたのに、自分だけ安全な場所で隠れているのはずるいのではないか。みかどはただただ、足の皮が擦れても良いと登った。



