「あそこが、スズランじゃな」



レンガ造りの低い建物が建ち並び、広いメインストリートにはいくつもの露天が並んでいた。その様子はまるでヨーロッパの国のような雰囲気を醸し出していた。



行き交う人々の髪の毛はカラフルで、魔法で人や物が宙に漂っている。



あぁ、本当に異世界に来たんだなぁ。



スズランに入る前、目立つからと赤い小さな龍の姿に変身していた神楽さんは私の頭の上に座っていた。



その姿の方が目立つのではないかと心配になったがそこはやはり魔法の世界である。



ペットのような魔獣も沢山いるようで、街には小さな魔獣が何匹もおりその姿を驚く人はいなかった。



逆に私の方がジロジロと見られているような気がする。



「神楽さん。何か注目されているような気がするのは気のせいでしょうか?」



「いやぁ、気のせいではあるまい。お主の見た目はこの世界では目立つからのぉ」



事故にあったのが登校中だったこともあり着ている服は制服だ。



「確かにそうですね」



周りの人はワンピースみたいな服だったりローブを羽織った格好をしていたので、私1人だけが浮いていた。