「はい!わぁ、なんか凄いですね。こんな力が使えるなんて・・・」



「そうか、よかったのぉ」



力に感動している私を横目に神楽さんは他人事のように相槌を打ち先へ足を進める。



それに気づき置いてかれないように急いで後ろを付いて行った。



「神楽さん、ここはどこですか?」



「ここは、ファータの中でも大きいディアラン帝国の首都スズランから少し西にある森じゃな」



「へぇ・・・」



ファータの地理が全く分からない私は頷くことしか出来ない。



「これから、どうするんですか?」



「取り敢えず、一番近いスズランに向かっておる」



スズランかぁ・・・どんなところだろう。



憑人になり神楽さんに付いていくと決めたが、その先のことは不透明なままでどうやってこれから生活していくのかが全く想像できない。



「神楽さん・・・もしかしてこれからの生活プランって何もなかったりします?」



とてつもなく嫌な予感がしてチラリと神楽さんを見ながら問う。



「まぁ、どうにかなるじゃろ」



「はぁ、そうですね。どうにかなることを期待しておきます」



肩を落としながらため息を吐くと神楽さんは笑いながら背中を叩いてきた。



ファータについて話をしながら2時間歩いた頃私たちの前に拓けた大きな街が見えてきた。