大きな衝撃を受け私の体はそのまま弧を描くように飛ばされる。



死ぬ間際に周りの景色がゆっくり見え走馬灯のように記憶が駆け巡るというけれど、私は今まさにそれを体験していた。



男の子が道路に飛び出し車に轢かれそうになっている所を目にし助けたのだが、自分は間に合わず車にぶつかってしまったのだ。



あの男の子は無事だったのかな?この事故がトラウマになりませんように。



あぁ、一度でいいから素敵な恋愛をしてみたかったな。



この世界に生きていたら無理かもしれないけど、冒険とかもしてみたかったな。



そんな呑気なことを考えながら、次に来る衝撃を覚悟した瞬間意識が遠のいていくのを感じる。



痛い思いをしないで死ねるなんて私は幸せなのかもしれない。



消えゆく意識の中、来世では願いが叶いますようにと願った瞬間だった。