そりゃ、最初は悔しかった。
母が必死になって働いて稼いだお金で買ったもの達を、
自分の血で汚してしまうような事はしたくなかったから……。
苦しくて、
悔しくて、
目から涙がこぼれ落ちる度、
彼らは楽しそうに口元をニヤつかせ、
より一層激しく俺を痛めつけた。
……そうしていくうちに気づいたんだ。
『なんだ。顔にさえ出さなければ、汚さなくてすむんだ。』って。
だから俺は表情に出すのをやめた。
するとどうだ。
どんなに強く殴っても。
どんなに強く蹴り飛ばしても。
全く表情を変えない俺を見て、彼らは気味悪がって近寄ろうとしなくなった。
俺は一人になれたのだ。
