(三週間……か。今回は意外と好きだったんだけどなぁ……。)
……なんて、特に理由もないくせに。
今回は長かったなぁ……と、まるで他人事のように考えていた。
ほんと、よくもまあこんな奴と付き合おうと思うな。
そう、一人自嘲しながら俺は校門を出た。
完全に陽が隠れ、真っ暗になった帰路につきながら、俺は不意に昔のことを思い出していた。
昔から、感情を言葉や表情に出すのは苦手だった。
俺がまだ小学校に入学してまもない頃、父親が蒸発し、
それからずっと母が俺を女手一つで育ててくれた。
……そんな母を困らせるようなことはしたくなかった。
だから……だから学校で
殴られようが、
蹴られようが、
無視されようが、
冷水をかけられようが、
罵詈雑言を浴びせられようが……。
全く苦ではなかった。
それに、『貧乏だ』『汚らわしい』『一緒の空気を吸いたくない』。
なんて……正しく小学生が必死に考えた残念で捻りのない悪口。
としか思っていなかったからだ。
