「ねぇ……別れましょう?」
陽は傾き、オレンジに染まる空。
放課後、甲子園に向けて部活に打ち込む野球部員たちの、
野太い声のみが聞こえてくる、人気のない中庭。
そこで、もう何度目かもわからない別れ話をされた。
涙を目にいっぱいに貯めて、震える声でいう元カノになったやつに対して、
ああ、またか。としか思わなかった俺は、やはり異常なのだろう。
……まあどーせ、また俺に非があるパターンなんだろうけど。
「うん、わかった。んじゃ。」
っと、いつものように俺は無表情で言い放つ。
そして、そいつの後ろの木陰から伸びる人影が、
そいつに向かって動いたのを確認してから、
俺はその場をあとにした。