すると、


「れーんっ!」





一緒にいることが多い、藤岡隆也と河島大輝が声をかけてきた。







「次移動だぞ。」




おう。と、大輝に向かって言う。






「あれ?もしかして大瀬ちゃん?」




隆也が可菜子を見つけて言う。






「あれ?藤岡くんだ!一緒なクラスだったんだね!」





隆也と可菜子の会話に花が咲く。




「え、2人って知り合い?」



「うん。1、2年と、クラス一緒だったしね。」




「大輝は?」




「俺は1年の時一緒だったよ。」






「そうだった、そうだった!なんか、懐かしいね!」





話に入れていない連が、慌てて会話に割り込もうとする。





だが、教室のドアの方から可菜子を呼ぶ声が聞こえた。





「可菜子ー!早く行こーよ!」



「あ、はーい!」





可菜子を呼んだのは須谷りずだった。





「じゃあ、また後でね。」




「うん。じゃあ。」





可菜子はりずの元へ駆け寄り、2人で並んで行ってしまった。




「つーか、俺らも行こうぜ。」




大輝の一声で、はっとなる。





「おう。行こいこ。」





美術室に向かう途中で、連は思った。





(ぎこちなかったけど、ちゃんと大瀬さんと喋ったんだよなぁ…)





可菜子の噂は、1年の時から知っていた。





合唱部の、歌が上手い上に成績も常にトップ10で、正統派な美人って。





だから、可菜子と喋れたことは、連にとってはとても貴重な事なのである。