わたしは戸惑いなくぱあっと笑った。
「うん!!」
いっぱいいっぱい変われたよ、竜馬。
友達だってできたよ、竜馬。
お母さんのこと、前よりちょっぴりだけ好きになれたよ、竜馬。
お父さんと一緒にたくさん喋れたよ、竜馬。
伶奈のこと、受け入れようかなって思えるようになったよ、竜馬。
全部全部君に伝えたい。
君には全部知ってもらいたい。
「そっか。」
竜馬はそう言って優しく笑った。
初めての竜馬の優しい笑顔。
全部記憶に残しておきたい。この瞬間を、鮮明に覚えておきたい。11月の朝、この公園のこの場所で、竜馬がふわっと笑いかけてくれたこと、わたしは絶対に忘れない。
「よかったな。」
「うん!」
竜馬、ありがとう。
ありがとうを100回言ったってきっと足りない。
それでもやっぱりありがとう。
「学校行かねーと遅れるぞ。」
「だね!」
そう言って二人で早歩きをする。
この時の少しだけ息の上がった自分、そしてそんなわたしをからかう竜馬、きっと忘れない。