遠くから見ただけでもすぐにわかる。
わたしのかっこいい、大好きな人って。
人目を惹くあの容姿は、認めざるを得ないイケメンだ。
だけど、彼の容姿で好きになったわけじゃない。少し小太りしたおじさんだったとしても、わたしはきっと彼を好きになっていた。
小さく咳払いをする。
よし。いける。
「竜馬!」
はっきりと彼の名前を呼んだ。
ずっと呼びたかった。この二週間寂しかった。
呼べないだけ。
それが、こんなにも苦しいなんて、知らなかった。
彼の瞳に一秒でも長く映っていたい。
彼の心に焼きつきたい。彼の記憶に残りたい。あんな子いたなって、大人になってもずっと覚えていてほしい。
公園の南側。彼は足を止めてわたしを見つける。
あ……目があったよ。
こんなにも嬉しい。ただ目が合うだけ。それが、『だけ』、では済ませられないほど、わたしは君が好きなんだ。
しゃべらなかったこの時間。もっと好きになってしまった。
気づいたこの気持ち。一度知ったらもう止まらない、溢れ出てくる想い。
恋なんて、したくなかったよ。
あ。
竜馬が来る…!
そう思った時には、自分から駆け出してた。
ぶつかりそうな勢いで、公園を突っ走る。
みんなが見てる。
でも、気にならない。


