「お前が変わるまで、俺はお前みたいな奴とは話さない。」
竜馬はそう言ってバタン!!と大きな音で音楽室の扉を閉めて出て行ってしまった。
泣きながらわたしは空を見上げた。
わたし、変われるのかな。
「ママ…っ。」
わたしはぽっかりと浮かぶ小さな雲を見上げる。
「ママのところに行くにはっ…早すぎたかもっ……わたしには、まだ………っ、ここで待っててくれる人がいる!」
大きな背中。
骨ばった手。
甘い香り。
きつい口調。
常にまっすぐで、真実をぶつけてくるあいつ。
人を見下しているようで、誰よりも気遣いの出来るあいつ。
学校を楽しくしてくれたあいつ。
自分を大事にしろよって言ってくれたあいつ。
真っ青な空なのに、今のわたしから見たら、恋の色に見えた。