翼を広げて



『ママ、僕より好きな人できたって。』

『僕、ひとりぼっちになるのかな。』


どうしよう、どうしよう、どうしよう。


怖い。

怖い。

怖い。



現実世界から逃げている自分の無様な姿が浮かび上がる。



『咲ちゃん、アップルパイ。』


『咲ちゃん、新しい家族を呼ぼうと思うの。』


『お父さんは、咲が良いお姉ちゃんになることを願ってるよ。』


…………………。



わたし、どうしてここにいるんだろう。




ママ…ママ…




ママ、助けてよ…




ママ…お母さんなんか嫌…ママがいい。




ーわたしって、いらない子?




ふらつく足取りで立ち上がる。

窓の外に見えるのは、果てしなく広がる青い空。



鳥に…なりたいよ。




ママ…ママ…ママ…




「っ、何してんだよ!!!」





体に違和感を感じてわたしは我に返った。


強く引かれた腕。


背中越しに伝わる温かい体温。


甘い香り。