竜馬はすぐにそのマフラーをつけてくれた。
そんなところが、わたしは竜馬の魅力だと思う。
竜馬に、『恥ずかしい』、という感情は存在しないのだろうか。
「あったかい。」
竜馬は嬉しそうに瞳を細める。
「咲作ったの?」
「………うん。」
どうしよう。
あげちゃった、竜馬に。
そこまでこの部屋寒くないのに。
暖房はないけど、ちょうどいいくらいの温度なのに…
竜馬はつけてくれてるんだ。
暑くないの?
とってもいいのに…
全然かっこよくもなんともないマフラーなのに…
どうしてそんなに優しいの…?
『どうしてくれたの?』
なんて竜馬は聞かないんだ。もしかしたら…それがわかってたから、あげたのかな…
竜馬…
竜馬…
その名前、ずっと頭の中、支配してるんだよこの頃。
「編めるんだな。」
竜馬はすっと視線をわたしに向ける。
「……下手だけどね。」
「俺は好き。咲のマフラー。」
ああ……その言葉、わたしをこんなにも勇気付けてくれる。
竜馬の些細な言動すべてが、わたしを幸せにしてくれるんだ。
竜馬にあげて、よかった。