窓の外を見つめる竜馬の姿が、不意に、鮮明に見えた。


ふわりと揺れる髪、

白い肌に薄い唇、

開いた足の上に置かれた筋肉質な腕、

どこか遠方を見つめる透き通った瞳…


ドクッ。


鼓動が高鳴った。



「竜馬。」

「ん?」


竜馬はわたしの方に視線を向ける。

躊躇なしにまっすぐと見つめてくるその瞳が、その全てが、どうしてだろう……胸をぎゅっと縛り付ける。


「赤色…好き?」

「え?」

「赤。」

「あー、うん?」


竜馬は少しだけ戸惑ったように頷く。

竜馬の困った顔、好き。



「マフラー持ってる?」

「マフラー?」


竜馬は今度こそ顔をしかめる。


「マフラー。」

「持ってねえけど。」


わたしはカバンを開ける。

竜馬は何かを察したように少しだけ髪を触る。


「ん!」


わたしはマフラーを竜馬に向かって投げる。

白い光がさんさんと注ぎ込む窓の横を、大きくて綺麗な弧を描いて赤いマフラーが舞い落ちる。


「あげる。」

「……は?」

「竜馬にあげる。」


竜馬は腕に収まったマフラーとわたしとを交互に見る。


「別に好意があるとかそんなんじゃないから、自惚れないでよね。」


そういえば、竜馬はフッと笑った。


「サンキュ。」