「竜馬、もらったの?」


そう聞けば、竜馬は振り返り、開けっぱなしのバッグをみて、あぁーって漏らした。


「くれるって。」


竜馬はそれだけ言うと、口元に着いたクッキーのこなを軽く拭った。


よく見れば、他にも入ってた。


オレンジ色の袋。

黄色の袋。

花柄模様の箱。


いっぱい、入ってた。



わたしは思わず足を止めた。



どうして、悔しいんだろう。

あんな竜馬なのに、モテてるから?

何もしてないのにみんなからもらえてるから?


それとも……。



竜馬が振り返る。



まるで、『何してんの』とでも言いたげに。



「竜馬、お菓子好き?」


知らないうちに、そう聞いてた。


「ものによる。」


竜馬はそっけなく返す。

だけど、わたしが動くまで竜馬も動かない。


「アップルパイ、好き?」


「んー、どうかな。普通。」


「……そっか。」


そう言ってまた歩き出す。

竜馬も何も言わなかった。