「え……?」
竜馬は袋を開けると、わたしが焼いたクッキーをつまみ出し、一口でパクッと食べてしまった。
「ん、うま。」
竜馬はもう二つ目も、口に放り込む。
「砂糖で飾り付けしてあるの、甘すぎて無理だからちょうどいい。」
竜馬はそういうと、わたしの横を通り過ぎようとする。
「ちょ、」
わたしも慌てて後を追う。
意外と背が高いんだね。
真っ黒の髪の毛、柔らかそう。
大きな背中。
骨ばった大きな手。
靴も、大きいね。
なんて気持ち悪いこと考えてるんだろう、わたし。
「お前もいる?」
まるで自分が焼いたかのように、ん、とクッキーを突き出される。
「いい。」
「あっそ。」
そう言うと竜馬は三つ目も頬張った。
その時、ふと竜馬の開けっ放しの肩掛けバッグの中から、ピンク色の袋がはみ出ているのが見えた。
なんだろう……。
「あ。」
ハート型の、クッキーだった。
確か、山本さんが作ってたっけ…
赤いリボン、ついてる。


