助けて。
その言葉、ずっと封印してた。
助けてよって。
お願いだから助けてよ。わたしを救ってよって、心は悲鳴をあげていた。
なんでもない平和な毎日のはずなのに。どうしてこんなにも胸が苦しくて、一呼吸するたびにむなしくなるの…?
「咲、」
神木竜馬はわたしから目を離さない。
こういう瞳、探してた。
ずっと、ずっとわたしを見てくれる瞳。
「俺、神木竜馬。」
初めて、自己紹介をしてくれた。
「竜馬。それでいい。」
竜馬…竜馬…
そう頭の中で連呼する。
涙がまたもう一粒転がり落ちる。
彼が自己紹介をすると、一つの名前の大切さを、なぜだか感じた。
わたしの周りにいる人は、『◯◯でーす』って気軽にいうから、わたしも気軽に自分を言っていた。
藤宮咲。
今だと、素敵だって思えるこの名前。
「泣いたって、地球上の水が全てなくなるわけじゃねーし。泣けばいいじゃん、好きなだけ。」
わたしから顔を背け立ち上がると、眩しそうに空を見上げながら竜馬は言う。
「我慢って辛くね?俺は、無理だな。」
どうしてだろう。
そう言われたら、押し寄せてきていた涙が引いた。
気遣ってくれているのか、竜馬はそっぽを向いている。だけど何も発さないわたしを不思議に思ったのかちらっと振り返る。
「泣かねーのかよ。」
そう言われて、久しぶりにふふっと笑った。
「地球のためにも、水分とっておかなきゃね。」


