そんな時、サッカーボールが転がってきた。女子生徒が一人それを追ってきている。早く止めないと…涙、止まらないっ…っ
足がすくんで動かない。
腕が微かに震えている。こんなところ見られたら…もう、学校これないよ、わたし…
女子生徒が近づいてきたその瞬間、
ースッ
腕が伸びてわたしを引っ張った。
ザっと砂利が擦れる音がする。
ぼやけた視界の先に、神木竜馬の大きな背中が見えた。
「…ん。」
「あ、……ありがとう。」
サッカーボールを受け取る女子生徒は、常にそっけない神木竜馬の行動に目が点になっていて、わたしに気づいていない。
急いでかけて行く足音が聞こえた。
まただ。
砂利にもう一つ、シミができた。
まるでレンズ越しに見ているかのように揺らいでいる視界の先に、二つの黒いスニーカーが現れる。
そして意外と筋肉質な腕が、まくられたシャツの下から現れて、そのままわたしの腕を強引に引いて歩き出した。
冷たく乾いたその手の平が熱い体温に心地よかった。
彼は何も言わない。
嗚咽をこらえようとするたびに、硬くて重い鉛がうねる。
まるでしゃっくりが止まらないように、微かに漏れ出てくる嗚咽は乳幼児みたいに頼りなく宙に浮く。
ずっと地面を見てた。自分の白いスニーカーが引きずられるように砂利を歩くから、砂埃で茶色く染まる。
少しだけ目線をあげれば、神木竜馬の灰色の制服のズボンが見える。少し長いみたいで、裾の方は砂色になっていた。


