翼を広げて


頭が痛くて体育に参加できないわたしは、一人、運動場の階段に腰を下ろしてぼんやりする。

砂埃が舞う中、生徒たちが笑顔でボールをパスし合っている。

体育は嫌いだ。

嫌いな理由はたくさんある。

汗をかくこと、

日焼けすること、

疲れること。


だけど、一番の理由は、ペアがいないことだ。

『友達』と呼んでる人たちは、友達じゃない。

もう親友っていうものができていて、わたしになんかかまっていられない。

だから、いつだって、『奇数だから一緒のグループになってもいい?』

って聞いて、『うんいいよ〜!』、って笑顔で返される。


本当の友達だったら、一人余るんだったら最初から三人で固まるものじゃないの?

偽善者ぶって、『全然大丈夫!』みたいな感じで笑ってるけど、仮にも同じ『友達グループ』の会員だよ?


だから体育は嫌いなんだ。

自分に友達がいないことを見せつけられるから。


そんな時、ふと、運動場の反対側に、見覚えのあるシルエットが同じように腰を下ろしているのが見えた。


神木竜馬。


最近やたらと視界に写ってくるようになった。前なんか全然気に留めてなかったのに…なんでだろう。


彼をじっと見つめていると、ふと、立ち上がり、こっちに向かって歩いてくる。

えっ?えっ?

慌てふためくわたしをよそに、涼しい表情でずんずんと近づいてくる。

なにして…


キュッ。

蛇口をひねる音がする。


どうやら彼は顔を洗いに来たようだ。


やばい…なんて自意識過剰なんだろう、わたし。

かあっと熱くなるのがわかる。


そんなわたしを見て、フッと神木竜馬が口角をあげた、


「何?がっかりした?」