「台本かかなきゃだしねえ。」

「めんどいよねー。」


確かに台本作りは大変だし、台詞を覚えるのも一苦労だ。


「どうするー?普通に発表とかにする?」


わたしたちが通っている学校は偏差値が一般的に高い私立校であるため、いい加減な出し物は許されない。

だからみんなが思い描くメイドカフェ、などという『下品』なことにはまったく手の出せない状況だ。


「あー疲れる。」


思わず口に出てしまった言葉にみんなが笑う。


「やっぱ咲もそう思うよね?」


夏帆がだるそうに机に突っ伏す。


「みんな、決めるよー。」


クラスをまとめている生徒会の長濱さんが手を叩く。

派手なグループ所属の彼女は、しっかり者で男女共々人気が高い。

だけどその一方で権力を握っているため、色々と悪事をしている、などという噂は耳にしたことがある。悪魔で噂であるからあてにはできないが、あまり深く関わらない方がいいタイプの人間みたいだ。


「シンデレラとかは?」

「あー、アレンジとかして?」

「そそ。なんか、メッセージ性強いし。」

「先生喜ぶしねえー。」


イラっときた。

先生に喜ばれるためにメッセージ性の強いものを選ぶのは、おかしい。

何かを伝えたいからそれを選ぶものだと思う。

イライラする。

みんなの低レベルな考えにイライラする。