だから今の展開は予想外だった。
空き校舎に通い詰めるのは自分だけだと思っていたのに、神木竜馬も一緒なのかと思うと、ちょっと気持ち悪かった。
わたしだけの音楽室。自分だけの場所。
自分だけの空間。
そう思っていたのに…
悔しい。
空き教室の椅子にどかっと腰を下ろして、あらかじめポケットに入れてた購買のジャムパンを取り出す。
「美味しい…」
一人で食べる時が一番美味しく感じられる。
誰にも気を使わなくてもいいし、物思いに耽ることだってできる。
そういえば…神木竜馬もジャムパン買ってたっけな…
そう思ったら気分はダダ落ち。
神木竜馬はきっと今のんびりと音楽室を独り占めしているというのに、わたしときたらあいつのせいで1日が台無しだ。
「あんたのより倍美味しいし。」
なんて勝手に対抗心を作ってジャムパンを口に無理やり詰め込む。
「ごほっ、」
咳き込んでジャムパンを危うく吐き出しそうになる。
…最悪すぎる。
携帯のアラームがなる。
チャイムが鳴る2分前。