イライラを抑えるように歩くも、なかなかもやもやとした気持ちは消えてくれなくて、それが余計に自分を腹立たせた。


せっかく今日はゆっくりできると思ったのに。


この空き校舎は今年の終わりから工事を始める。学校の規模を広げるらしく、ここに図書室や自習スペースができる。

だから今は誰もこない、ひっそりとした場所になっている。

一応立ち入り禁止のテープが廊下の先に貼ってあるものの、そんなの越えてしまえばいいだけの話だ。

たまにカップルがいちゃつきに来ているけど、それも稀だし、結構広いからいたとしても気づかないことが多い。

なのに…なのに…なんで今日はあってしまったのだろう。

他にもたくさん部屋はあるのに、どうして音楽室にいたのだろう。

運が悪いとしか言いようがない。

あーあ。心の中で愚痴りながら、わたしは空き教室に向かう。

もうねれないじゃん。

ああいう人、苦手かも。あまりにも自分と似ていないから、苦手なのかもしれない。

あけっぴろに嫌悪ムードなんて出せない。ほぼ初対面の人にあんなこと言えない。

だから、苦手。


埃臭い廊下を歩きながら自虐的な笑みを浮かべる。

少女漫画の世界だったら、学校の屋上に王子様がいて、キュンキュン展開になるのかもしれないけど、現実にはそんなことは起こり得ない。

屋上はもちろん入れないし、きっとその理由の一つには自殺する生徒がいるからだと思う。

現実世界は甘くないし、全然綺麗じゃない。

空き校舎があってラッキーだとは思うけど、やっぱり学校は嫌だ。