少しだけ埃臭いこの廊下では、どこか遠くでくぐもって生徒のざわめきが聞こえる。

だけどそれも別の世界からの小さな騒音のような気がして、まるで自分だけどこか違う場所に来てしまったような気がする。

不思議なんだここは。

少しカビの匂いもするけれど、窓の外から降り注いでくる日光が廊下を気持ちよくぽかぽかと温めてくれていて、どこか安心する。

「今日はどこ行こうかなあ…。」

わたしは首をかしげ、

「音楽室行こうっと。」

とまた歩み出す。


音楽室は昼寝をするのにぴったりの場所だ。

長いこと誰も足を踏み入れていない絨毯に身を投げて、注ぎ込んでくる日にあたり、ぬくぬくとお昼寝できる。


一応携帯にアラームをつけて、予鈴に間に合うようにはしている。


眠たくなってきた…


わたしはガラッと戸を開ける。


「ねむーーーい。」


そう声に出してみる。


「疲れたーーーー。」


好き勝手言えるのは心地いい。


「人間嫌い!」


音楽室は防音で、声が外に漏れることは決してない。


「自由な鳥になりたーーーーい!!」