おやつを食べ終えると、それを台所まで運んで洗う。

「別にわたしが洗うからいいのよ?」

って言われても、

「お菓子のお礼。」

と言って洗う。

たかそうなお皿だから気をつけながらタオルで拭く。

「じゃあ宿題してくるね。」

「お疲れ様。」

お母さんとの会話を終わらせ、自室に戻る。

その瞬間肩の力が抜けて、ボフッ!とベッドに身を投げる。

疲れた…

だるい…

勉強って言っても、大概の場合インターネットに逃げていることが多い。

そっちの世界に入ってしまえば、現実から逃れられるし、永遠と限りなく好き放題してられる。


ふっと目が覚めてわたしはこった体を伸ばしながら顔を上げる。

「勉強の邪魔して悪かったな。」

振り返ればドアをそっと開けてスーツ姿のお父さんがこちらを伺っている。

「ううん、大丈夫。」

「そうか。じゃあ、夜遅くならないようにな。」

「うん、おやすみ。」

「おやすみ。」

別に、もともと勉強なんかしてなかったし…

なんて言えないわたしはそのままコンピューターと向き合う。

宿題…終わらせないとな…

シャーペンを握り直し、ふと、今日の出来事を思い出す。

平凡な日常の小さな非日常な出来事。

何を思ってるのかわからない、ビー玉みたいに透き通った黒目がちの二重。


お礼…言えばよかったかな。