翼を広げて


「……神木に連絡するか?」

「……え?」


どうして今竜馬が出てくるの。

そういえば…わたし、竜馬の連絡先知らないな…。


「あいつ、お前の彼氏じゃないの?」

「えっ?ち、がうよ!」


慌てて否定すれば、意外そうな表情をする斎藤くん。


「すごい過保護なんだね、神木。」


そう言われて困惑する。過保護?竜馬が?


「あ、てか、もう電話かけちゃった。」

「えっ!??」


斎藤くんの言葉に一気に目尻に溜まってた涙が引っ込む。


「どうする?」

「え?!」


どうするって言われても…


「あ、もしもし。」


斎藤くんは携帯を耳に当てると、ちらっとわたしに視線を送る。

ふるふると首を振れば、眉毛を少しだけ上げた。


「藤宮咲がさ、なんか……いるんだけど。」


いや、いるんだけどってどういうことよ!

そりゃあ、いますよ!いますけど…!


「はい。」


そう言って携帯を差し出されて大パニックのわたし。


無理!無理!


しかもなんで竜馬に電話することになったの!?