「あわよくば乗り換えてやんなさいよっ。村田くんに」


「香乃子……それってヒドくない……?」


香乃子はアッサリ言ってのけたけど……、



ヤな女の子だよ、それ~。



「じゃあ……大人しく伊崎のオモチャになっとく?」


「ヤだ!! 絶対イヤ!!」


それだけは絶対イヤ!!


わたしとしては、一刻も早く悪魔から解放されたい……。


「あっちがアンタをオモチャにするなら、アンタは伊崎を利用する。それくらいしたって罰当たんないでしょ?」



香乃子の言うことは妙に説得力があって、わたしも思わず何度も頷いて納得してしまう。



「そうだよね!! わたし村田くんと仲良くなってみせるよっ!」


そう思ったら、VS悪魔も俄然やる気になってしまう。



……我ながら単純。


「伊崎にコロッとやられちゃわないようにねぇ」



含み笑いの香乃子がわたしに言う。



いや……有り得ないよ。それ。



「それは無い」



キッパリ言い切ったわたしに、



「そう? アイツって俺様だから流されやすい朱羽ならそのまま……」


なんて言ってくるからわたしも答えてやる。



「絶対無いっ!!」


何が何でも悪魔に屈服しない。



この決意を胸に、わたしはギュッと拳を握り締めた。