「和田(ワダ)さん」 「っ!」 やられた。完全に。 名前覚えてくれてたの……? 「た、っ……羽瀬(ハセ)くん」 キミを呼ぶのにこんなにドキドキするなんて。 やっと、呼べたキミの名前に今にも泣きそうになる。 「ふはっ。すっごい久しぶりに呼んだ和田さんのこと」 「っ。わ、私も」 「やっぱ?」 そうおどけて言う彼と直で目が合ってしまった。 ……おっとー。意外と近い、この距離。 まさか、ふたり同時に向くなんて思わなかったし! てか、治まらない。もう心臓吐き出したいよ……。