5分くらいして着いたそこはちょっとした丘にある、とても景色のいい公園だった。近くのベンチに腰掛け、空を眺めた。月明かりに照らされた桜はとても幻想的で、
ネオンが灯る町はキラキラ輝いていた。
「綺麗…」
そう呟くと彼は満足そうに微笑んだ。
「でしょ。ここは心が落ち着く場所なんだ。悲しいときはいつもここに来る。ふふ。他の人には内緒だよ。静かでいいところだから。」
そう言って屈託のない笑顔で笑う彼は
とても綺麗で、思わず私も笑顔になっていた。
「よかった。笑えるじゃん。」
そうか。私でも笑えるんだな。いつぶりだろう。こんなに満たされた気持ちなのは。
すると不意に彼がすっと目線を下に移す。ハイソックスからのぞく私の足はボロボロで傷だらけ。
あぁ。隠してたのにな。
「その傷どうしたの。」
真剣な目で私に問いかける彼は
さっきとはまるで別人だった。