side颯也

今日はデートの日だ

あんなめちゃくちゃな誘い方したけど

誘ったことないんだから仕方ないだろ！

なんて1人心の中で優花に文句を言う

あん時の呆れ顔が…

何気にむかつくぜ。

何が目的で茶化してんだよ


デートの場所はとりあえず定番の

大型ショッピングモールにした

自転車で行ける距離だから杏奈も行きやすいと思ったし

俺も良く行くからな



｢お待たせ｣



そう言って肩を弾ませながらきた彼女は…

すげぇ可愛い服を着てて。

こんな人の隣歩くのかと思うと少し緊張が走る

情けない。もっと余裕みせてみろよ

｢よぉ。か、可愛いな。似合ってる、ぞ。｣


やべ、噛んじった

もう、なんなんだよ、手とか繋ぐべきなのか！？

そうなのか！？

｢ありがとう。優花と選んだの！｣

…優花か。

あいつは流石によく分かってんな

何が杏奈に似合うとか、杏奈のこと何でもわかるんだろうな

って、さっさと移動するか

｢どこ行きたい？腹減ったか？｣

｢そうだね、丁度お昼だし｣

確か上にフードコートがあったか？

｢三階のフードコートでいいか？｣

｢いいよ〜ん｣

そう言って笑う杏奈

可愛い。




･*:.｡. .｡.:*･♡･*:.｡. .｡.:*･♡

｢はぁ｣

何やってんだ

そう。

手も繋げず、飯を食い、プリクラ撮って、映画見て

キーホルダー買っただけだ。

リードもなにもできずに

さっき別れてきたのだ

｢こりゃ駄目だな…｣

と、取り出したのは携帯

こんな時は翔太だ。

田中翔太は中学からの友達だが、同じバスケ部でよく相談にも乗ってもらってる

皆にバラしたのも翔太なんだけどな。

hukuda︰なぁ聞いてくれよ

はやっ！

既読がすぐ付いた。待ってたのか？

tanaka︰絶対来ると思って待ってたぞ笑

やっぱりな

tanaka︰どーせ手も握れずに回って落ち込んでんだろ？笑

…くっ。お見通しってわけか。

｢あーもぉ！そうだよ！｣

誰にともなく1人で叫ぶ

tanaka︰大丈夫だ颯也
ゆっくりでいいんだよ、お前のタイミングで。

…自分のタイミング、か。

と、立て続けにくるLINE

tanaka︰てかお前、本当に森の事が好きか？

…は？本当に杏奈が好きか？

そりゃ好きだろ

じゃなきゃ付き合わないからな

hukuda︰何言ってんだよ
そうに決まってるだろ

tanaka︰じゃあ一度でも好きって
言ったことあるか？


思えば、無い。

杏奈は、告白の時言ってくれたけど…

でもだからなんだ？

好きって言ってないと好きじゃないのか？

そういう訳では無いだろ。

hukuda︰俺のタイミングで言う

tanaka︰そうか。ならいいんだ。
頑張れよ


あぁ。にしても翔太様子がおかしかったな

文面的に元気がなかったけど…

まぁ気にすることでもないか。



そう思いながら携帯を閉じた