弘side

「好きな人に自分の気持ちを
拒否されたんだよ?」


拒否……それは、一番自分が
嫌いな言葉にすぎなかった。


母親が亡くなった事に対する、
不安や絶望や計り知れない罪悪感


これらを全部、世の中に拒否
されてきた。


もちろん、自分にもだ。


「話を聞かずに人の気持ちが
分かるわけない!」


「だから、話を聞いてあげよぅ?
それから返事考えようよ。」


麗乃の言う通りだな。


「麗乃、その通りだよな。
俺は、話を聞かずに
人の気持ちを拒否して踏みにじって
自分の事ばっかり優先して
全然、周りの事を考えてなかった。
ありがとう。お陰で目が覚めたよ。」


「良かった!」


「というか、なんで麗乃が泣いてるの?」


「ヘヘッ、相手の気持ちを考えたら
泣いちゃうんだ。昔から。」


「それだけ麗乃が優しい証拠だな。」


本当に、心が綺麗な子だな。


「ありがとう。」


「うん。俺、灰野に謝ってくる。
このままじゃ終われないだろ?」


「そうだね。私も行くよ!」


君が泣き晴らした顔は
いつもより輝いているような気がした。