「ホテルって、何処か旅行に行くの?」


行きたい行きたい!!


「もぅ!純粋無垢な、いずの心を
汚さないでよ!このチャラ男!!」


あれ?旅行じゃないのかな??


「なっチャラ男?!
俺はチャラ男じゃ「ハイハイ
そこまで。」だけどよー」


「シーッ」


その時の弥生君は、牡丹を纏った
狐みたいに、切れ長の目を少し細めた。
自分の指を立てて。


私だけでなく、その場にいる人たち
誰もが、心を揺らしただろう。


そして、誰もが彼の言葉を聞き入れた。


「ホーホー、ホーホケキョッ」


あ、鶯谷だ……。


「この時期だからこそ聞ける
春の醍醐味だよね。」


春の醍醐味…か。


弥生君は鶯谷に興味があるみたい。


纏っている空気が、
牡丹から鶯谷のような黄緑色をしていた。


色がすきなのかな?


「お前、この状況で鶯谷かよ……
まぁ、弘だからいいけどよ…!」


「クスッ…ありがと。」


狐のように笑う君を
私は、一目で吸い寄せられた。


キュン


え?キュン??病気かな~??