ーーーーサァァァァー

細かな雨が振りだす。

私の手元に傘はない。

私は雨に濡れながら帰り道を急いでいた。


傘をさす人の群れから逃れるように足を急がせる。

ーーニャー

猫の鳴き声にふと足が止まってしまう。


足元をみると雨の濡れた段ボールの中に白い子猫がいた。


貴方も独りなのね。
濡れてしまってかわいそうだ。

なんて思いながら子猫に手を伸ばす。

震えていた子猫が私の手を避けるように身を縮こまらせる。


貴方も私を嫌いなのね。

諦めて私はまた足を急がせた。