「君にも、
怒られると思ってた。
なのに、怒らない。
なんで?
私は嘘をついたんだよ?」
「怒らないよ」
そう、怒らない。
母さんが怒らなかったのも、
僕が怒らなかったのも同じ理由。
千夜はなにも悪いことをしていないから。
記憶することができなくて、
十歳のままなのはしかたない。